外国人材の受け入れに際しては、外国人技能実習制度と特定技能制度の2つの制度と、それ以外の在留資格が存在します。これらの制度には、それぞれ異なる目的や要件、特徴があります。以下に、技能実習と特定技能の違いを分かりやすく解説します。
技能実習、特定技能制度の目的
技能実習「技能移転による国際貢献」
特定技能「人手不足の解消」
外国人技能実習制度の目的は「技能移転による国際貢献」です。日本の技能と技術、知識の開発途上地域への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担うための人材育成が目的の制度です。技能実習法第3条第2項には、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と定められています。そのため日本の技能と技術、知識とは関係のない作業を技能実習生に行わせることはできません。人手不足の解消の手段として外国人技能実習生を雇用することは、技能実習の本来の主旨とは異なります。
一方、特定技能は「人手不足の解消」を目的としているため、幅広い作業が該当します。特定産業分野の16業種で対象となる業務であれば、技能や技術などの移転とは関係なく作業を任せることが可能です。
特定技能とは
特定技能とは、日本国内において人手不足が深刻化する16の分野を「特定産業分野」として、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる制度です。
特定産業分野(16分野)
①介護 ②ビルクリーニング ③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
④建設 ⑤造船・舶用工業 ⑥自動車整備 ⑦航空 ⑧宿泊 ⑨農業 ⑩漁業
⑪飲食料品製造業 ⑫外食 ⑬自動車運送業 ⑭鉄道 ⑮林業 ⑯木材産業
「特定技能」を一言で表すと、日本国内の産業で「労働力」を確保するためにできた唯一の在留資格です。特定技能の在留資格では「人手不足の解消」のために外国人材を雇用することができます。従来の在留資格とは異なり高度・専門的なものである必要はありません。
日本では、中小企業や小規模事業者を筆頭に深刻な人手不足が進んでいます。
これまでは外国人技能実習生や、学業を目的に来日をした留学生が人手不足の企業での実質的な労働力になっていた背景があります。本来、技能実習は特定の業種で学んだ技術を本国に持ち帰ることが目的で、留学生は学問を学び本国に持ち帰ることを目的とする在留資格です。
そこで新たに2019年4月に新設されたのが「特定技能」です。人手不足が深刻な産業分野において「特定技能」での外国人材の受入れが可能となりました。
中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく在留資格が「特定技能」です。
外国人材の雇用において、技能実習制度と特定技能は目的が異なります。
二つの違いを表にまとめました。
技能実習制度と特定技能の違い
技能実習 | 特定技能 | |
目的 | 日本の技能と技術、知識を発展途上国へ移転する国際貢献 | 日本の人手不足を解消するための労働力確保 |
在留資格 | 在留資格「技能実習」 | 在留資格「特定技能」 |
関係法令 | 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する 法律/出入国管理及び難民認定法 | 出入国管理及び難民認定法 |
日本に滞在できる期間 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内(合計で最長5年) | 1号…通算5年 2号…3年ごとに更新×無期限 |
業種 | 技能実習1号…基本的な制限なし 技能実習2号…91職種 167作業 技能実習3号…82職種 151作業 (※2024年9月30日時点) | 特定技能1号…16分野 ①介護 ②ビルクリーニング ③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 ④建設 ⑤造船・舶用工業 ⑥自動車整備 ⑦航空 ⑧宿泊 ⑨農業 ⑩漁業 ⑪飲食料品製造業 ⑫外食 ⑬自動車運送業 ⑭鉄道 ⑮林業 ⑯木材産業 (※2024年4月1日時点) 特定技能2号…11分野 ②ビルクリーニング ③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 ④建設 ⑤造船・舶用工業 ⑥自動車整備 ⑦航空 ⑧宿泊 ⑨農業 ⑩漁業 ⑪飲食料品製造業 ⑫外食 |
家族帯同 | 技能実習1号、2号、3号ともに不可 | 特定技能1号…不可 特定技能2号…可 |
外国人の技能水準 | なし | 特定技能1号…相当程度の知識及び経験を有する 特定技能2号…熟練した技能を有する |
入国時の試験 | なし (介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり) | 技能水準、日本語能力水準を試験等で確認 ・特定技能評価試験 ・日本語評価試験 または、技能実習2号 or 3号からの移行 <移行の要件> ・技能実習2号を良好に修了 ・技能実習での職種/作業内容と、特定技能1号の職種が一致 |
受入機関の人数枠 | 常勤職員の総数に応じた人数枠あり | 人数枠なし (介護分野,建設分野を除く) |
転籍・転職 | 原則不可。 ただし,実習実施者の倒産等やむを得ない場合や,2号か ら3号への移行時は転籍可能 | 同一の業務区分内又は試験によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間において、転職可能 |
受入企業や人材をサポート、指導する機関 | 監理団体 | 登録支援機関(1号のみ) |
監理団体 | あり (非営利の事業協同組合等が実習実施者への監査その他の監理事業を行う。主務大臣による許可制) | なし |
支援機関 | なし | あり (個人又は団体が受入れ機関からの委託を受けて特定技能外国人に住居 の確保その他の支援を行う。出入国在留管理庁による登録制) |
外国人と受入れ機関のマッチング | 通常監理団体と送出機関を通して行われる | 受入れ機関が直接海外で採用活動を行い又は国内外のあっせん機関等を 通じて採用することが可能 |
送出機関 | 外国政府の推薦又は認定を受けた機関 | なし (現地からの外国人材受け入れの場合は必須の国あり。ベトナム、カンボジア、ミャンマー、フィリピンなど) |
活動内容 | 技能実習計画に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従 事する活動(1号) 技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動(2号, 3号) (非専門的・技術的分野) | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動 (専門的・技術的分野) |
技能実習制度と特定技能制度は、それぞれ異なる目的と特徴を持っています。
企業様のニーズに合わせて、どちらの制度を活用するかを検討することが重要です。
コープグローバル協同組合は、企業様の要望に応じて最適な人材受け入れのプランを提案し、全力でサポートいたします。
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