法務省|法務大臣閣議後記者会見の概要【令和5年8月15日(火)】

令和5年8月15日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続けて、私から、「全国一斉『こどもの人権相談』強化週間」についてお知らせいたします。
 8月23日(水)から8月29日(火)までの7日間、全国の法務局におきまして、「全国一斉『こどもの人権相談』強化週間」を実施します。
 強化週間中は、「こどもの人権110番」による電話相談やLINEじんけん相談について、受付時間を延長したり、土曜・日曜にも相談に応じるなど、相談体制を強化します。
 夏休みが終了し、学校が再開されるこの時期、学校での生活に悩みを抱えて不安を覚えているこどもたちやその保護者の方々などに、是非、フリーダイヤル0120-007-110におかけいただき、法務局へ相談をしていただきたいと思います。
 強化週間の取組を通じて、こうしたこどもたちの悩みごとに寄り添い、一人でも多くの悩みを抱えるこどもの声をすくいあげ、解決につなげるべく、しっかりと対応してまいりたいと思います。
 また、5月23日、26日の会見でお知らせしました「こどもの人権SOSミニレター」の取組も継続しております。電話やLINEでなくても、ミニレターでも相談をしていただきたいと思います。
 報道機関の皆様方には、一人でも多くのこどもたちを救うことができるよう、強化週間とSOSミニレターの周知・広報への御協力を是非お願いします。

「興行」の在留資格決定の要件緩和に関する質疑について

【記者】
 8月1日から海外アーティストが来日する際に取得する「興行」の在留資格の取得の要件が緩和されました。今回の要件緩和の狙いと、韓国などのメディアではかなり歓迎の声も上がっていますが、今後の海外アーティストの呼び込み拡大に対する期待を伺います。

【大臣】
 お尋ねの要件の緩和ですけれども、適正な受入れ実績のある招へい機関が外国人アーティスト等を受け入れる場合には、支払われる報酬や会場となる施設の規模が一定以上であることや、飲食物の提供がないことなど、従来求められていた、こういった要件を課さずに「興行」の在留資格を認めることとし、過去に受入れ実績がない招へい機関が受け入れる場合には、これまで「15日」とされていた在留期間の上限を「30日」に延長するということで、上陸基準を定める法務省令等を改正して、在留資格決定の要件を緩和するというものであります。
 この要件の緩和は、外国人アーティスト等の受入れを促進し、国際的な文化交流の発展や我が国の社会の活性化に資することを目的としています。
 法務省としては、引き続き外国人アーティスト等の適正な受入れに努めてまいりたいと考えていますが、このような取組を通じて、海外との文化の交流がますます活発になり、これが我が国と諸外国との相互理解にもつながっていくことを期待したいと思います。

インターネット上のヘイトスピーチ等に関する質疑について

【記者】
 ネット上のヘイトスピーチ・ヘイトクライムに関してお伺いします。
 先日8月10日、川崎市在住の在日コリアンの女性が、自身への大量のネットヘイトの現状に関して、横浜地方法務局に対し人権侵犯被害申告を行い、具体的な対策を要求しました。このようなネットリンチと呼ばれる大量の差別メッセージ、差別扇動に対して被害者個人が対応することは現実的ではありません。ヘイトスピーチ解消法及び衆参両院の附帯決議に基づき、速やかにヘイトスピーチを始めとするネットリンチについて実態調査を行うことが求められていますが、こちらの見通しはいかがでしょうか。全く調査が行われていないという声も聞きます。少なくとも被害者側に効果の見える施策が行われていないという現状があると思います。
 また、ネットヘイトを止めるためには、差別が違法であると明確に示す法律が必要であるかと思われますが、どうお考えでしょうか。
 同時に、ネット上の人権侵害、差別扇動をプロバイダが放置しないように法整備を進めていく必要性もあるかと思われますが、いかがでしょうか。

【大臣】
 法務省の人権擁護機関におきましては、いわゆるヘイトスピーチ解消法の規定やその附帯決議を受けて、ヘイトスピーチ関係条例を制定している地方公共団体から施行状況について情報提供を受けている、こういったことが行われているほか、毎年、関係省庁や地方公共団体を構成員とするヘイトスピーチ対策専門部会を開催して、ヘイトスピーチに関する情報交換や意見交換を行うこと等を通じてヘイトスピーチの実態把握に努めているところであります。
 平成28年に議員立法により成立しました、いわゆるヘイトスピーチ解消法は、憲法で保障された表現の自由に配慮し、一般的な表現行為に対する萎縮効果を避けるため、いわゆる理念法という形で、禁止規定や罰則の定めをあえて設けないこととして制定されたという経緯があるというふうに認識しています。
 御指摘の禁止規定を設けるなどの規制の強化につきましては、こうした法律の制定経緯等を踏まえて、その要否も含めて慎重に検討される必要があるものと考えています。
 また、プロバイダ等に対する法規制の在り方に関しましては、申し訳ありませんが所管省庁ではありませんので、お答えは差し控えたいと思います。
 いずれにしましても、全ての人々が、他人の言動により傷付けられることなく、多様性が尊重され、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けて、今後とも、人権擁護活動を粘り強く行っていきたいというふうに考えています。

(以上)



出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00437.html