法務省|法務大臣閣議後記者会見の概要【令和5年10月24日(火)】
令和5年10月24日(火)
今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
続いて、私から1点、報告をさせてください。昨日、皆様方にもお入りいただきましたけれども、駐日トルコ大使のギュンゲン大使の表敬訪問を受けました。日本トルコ友好議員連盟で私も活動してきましたので、交流はずっと昔から続いているのですけれども、法務大臣として是非、これからは大使と意思疎通をさせていただきたい、その最初のステップとしてお越しいただきました。今年の2月6日にトルコで大きな地震がありまして、大勢の方が亡くなられました。我々もできる限りの努力をしてまいりましたけれども、まずは哀悼の意を表し、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げたところであります。
また、来年は日本トルコ外交樹立100周年であります。今年はまた、トルコ建国100周年でありますけれども、こうした節目を踏まえて、法務・司法分野において両国がもっと緊密に連携ができるだろう、情報の共有、問題意識の共有もできるだろう、そういうことも、私の方から申し上げたところであります。大使からも、是非そういう緊密な関係を法務省とも作りたいというふうにおっしゃってくださいました。その上で、一部報道されていますような、在日トルコ人の問題行動についても、当面の大きな課題でありますので、意見の交換を行いました。詳細については申し上げられませんけれども、ギュンゲン大使も、非常に憂慮されておられて、我々と同じ問題認識、状況認識をお持ちでありました。共有していただいているということを確認することができました。また適切な対処をしたいという意思もはっきりとおっしゃっていただきましたので、この大使館、あるいは地元自治体、関係機関、こういった関係者と我々も緊密に連携を図って、真の共生社会を実現するための取組、この在日トルコ人の問題も含めて、真の共生社会実現に向けて取り組んでいきましょう。そういう話し合いをしたところであります。
技能実習制度及び特定技能に関する質疑について
【記者】
技能実習、特定技能制度の見直しを進める有識者会議の最初のたたき台が出ましたが、金曜日の自民党の外国人労働者特別委員会で転籍の緩和などについて、結構異論が出ました。こうした与党の議論の内容というのは、有識者会議に伝えられるのでしょうか。また、将来的には法案化を見据えている事案ですけれども、与党の意見というのは、今後どう政策にいかしていくのか。また、有識者会議の議論に影響するのかどうか、その辺のところをお伺いいたします。
【大臣】
先週の金曜日(10月20日)に自民党の外国人労働者等特別委員会において説明をしました。このたたき台について、事務局から説明しました。批判的な御指摘も含めて、様々な観点から御意見を出していただくことができました。その内容はよく承知しております。一方、有識者会議は、改めて申し上げるまでもないと思いますけれども、学識経験者、労使団体、法曹関係者、地方公共団体、支援団体など、この分野の専門的な知見を有する、まさにエキスパートの方々にお集まりいただいて、議論を進めていただいております。その中で、一般論として申し上げれば、事務局である入管庁から、そういった与党の議論も含めてですね、このたたき台についての様々な反応とか意見とかそういったものは、お伝えすることになります。それをどういうふうに有識者会議の中でこなしていただくかというのは、まさにこの会議の運営の問題に入りますので、私からこうだという予断を持って今後の進め方について申し述べることは、適切ではないと思いますが、やがてたたき台が最終報告になり、その最終報告がもしまとめられれば、制度設計という段階に入っていきますので、その最終報告書が提出された後も政府全体で検討を進めていくという過程に入っていきますので、そういう段階においても与党の意見というのは、当然吸収する、国会をにらみながら様々な意見を吸収していくという作業が続いていくわけですよね。継続してそれぞれの段階で、それぞれの(本件に)関わる皆さんの意見を吸収していく。その最初のステップに入ったというふうに御理解いただければ間違いないかなと思います。
グローバル難民フォーラムに向けての取組に関する質疑について
【記者】
先日、国連難民高等弁務官が来日し、会見の中で、最も重要な会議とする12月のグローバル難民フォーラムで、共同議長国として日本がリーダーシップを発揮することを期待しているという旨を述べました。外務省が主体となって進めるものではありますが、法務省としてこのフォーラムに向けてどのような取組ができるかどうか、お考えでしょうか。
【大臣】
御指摘のグローバル難民フォーラム。2019年、4年前に(国連難民)高等弁務官事務所が立ち上げて、世界最大の難民問題に関するプラットフォームと言われているのは御承知のとおりだと思います。政府機関、国際金融機関、ビジネスリーダー、人道機関、開発機関、難民、市民社会の代表が世界中から一堂に会し、1回目のジュネーヴ(での)2019年の会合(には)3,000人余りの方が集まったというふうに聞いております。難民をめぐる状況というのは個々に違いますよね。また刻々と変化しますよね。ですから、この全体を包摂するというか、全体をとにかくしっかりと視野に入れるということがまず大事だと思います。大勢の関係者がグローバルに集まって、そして最後の問題も見逃さずに全体も見ながら議論していく大変重要な場所であるというふうに認識しております。
今度2回目ですよね。立ち上がった2回目の会合ですから、より重要性が増していくのだろうと思います。これが大きく発展していけるかどうか、実効性を持てるかどうか、そういったことが問われる大変大事な2回目の会合に日本は共同議長国として参画するわけでありますので、当然、日本国としてのリーダーシップ、指導力、これはしっかり発揮していかなければならないと思います。おっしゃったように外務省が基本的な枠組みとしては中心に入ってくると思いますけれども、我々の問題でもありますので、外務省等関係省庁とよく連携して日本トータルとして、リーダーシップが発揮できるようにしっかり準備していきたいというふうに思っております。今回の2回目の会合で期待されるのは、政策的貢献、プレッジだと、あるいは、難民問題解決に向けた取組を進めている各国が情報を共有すること。そういった指摘もあるようでありますので、そういう点もよく念頭に置きながら、しっかりとリーダーシップが発揮できる準備を進めたいと思っております。
難民認定申請者数が急増しているとの報道に関する質疑について
【記者】
日本で難民認定を申請する外国人が、今年の1月から9月で1万1,000人を超えて過去最多であった2017年に迫るペースだということが今朝の報道であります。法務省、入管庁と把握している難民申請の現状についてお伺いしたいのと、あと2017年の時点は、難民申請の濫用も問題と指摘されていたところですが、今回の申請急増の背景などについてもお伺いできればと思います。
【大臣】
かなりの勢い、かなり大きく増えているという認識はありますが、最終的な数字の確定、人数の確定までにはちょっと至っていないので、何人ですということを今の段階で申し上げるのは難しいのでありますが、また新聞報道等も今我々も、しっかり見ながら、業績、原因の分析というのも進めていきたいというふうに思っております。あくまで報道ベースですが、コロナが少し収まってきて水際の規制が緩んできたということ、世界各地で紛争が多発しているということがバックグラウンドとしてあるのではないかというマスコミの報道がありますよね。そういった御指摘も踏まえて、実際のところどうなんだ。これがどれぐらいの勢いで増えてどれぐらい続くのか、どういう影響が及ぶのかということも含めて、今、検討ですね、しっかりやっているところです。ちょっと数字を申し上げられないのは、申し訳なく思います。そういう状況を踏まえながら、補完的保護対象者の認定制度も始まっていきますし、改めてこの難民問題についての原点でしっかりと立脚してね、対応していきたい。改めて気持ちを深めているところです。
難民認定制度に関する質疑について
【記者】
引き続き、難民認定制度についての質問なんですが、10月20日に、先ほど質問が出ていたグランディ国連難民高等弁務官が記者会見されました。それで大臣とお会いになったと思うんですが、日本政府の難民受入れの状況についてですね、難民条約に制限的な解釈をしているのが問題であると。それで難民認定手続に時間がかかり、難民認定率も低いということを問題に挙げていらっしゃいました。それで、この12月1日から施行予定の補完的保護制度については、国際人権法に基づく制度運用に、UNHCRとしても協力したいとおっしゃったりですね、それから第三国定住難民の受入れの拡大を法務大臣に求めたことや、今年、難民認定したアフガン難民を例にですね、日本語教育をはじめ、難民の社会統合のあり方について地方自治体や市民団体との協力関係の拡充もですね、主張し必要であるということもおっしゃっておられました。
そうしますと、今回検討されている補完的保護制度の前提としてですね、現在の難民認定制度の迅速性やそれから専門性を確立したり、行政不服審査として、難民審査参与員制度の抜本的な改善ですとか、難民の包括的な受入れのための制度が、新たに必要なのではないかというふうに思っております。それで、先ほど言いましたけど、今年、日本政府はグローバル難民フォーラムの共同議長国でもありますし、今年さっきのグランディ国連難民高等弁務官とその面談を踏まえた上でですね、日本の難民認定制度やその保護制度の在り方を、国際人権法にのっとって抜本的に見直すような決意が日本政府におありなのかどうか、難民申請ケースもまた急増しておりますが、法務省の独自判断で、補完的保護制度の導入だけで終わらせるお考えなのかお答えください。
【大臣】
グランディ国連難民高等弁務官と大変有益な意見交換ができました。先方からも色々なお話がありましたし、私の方からも色々な御説明をいたしました。そういったやりとりも踏まえてですね、今の御質問にお答えしたいわけでありますけども、まず基本は今ある制度、そしてこの制度も入管法改正によって改正されているわけですが、新しく入ってくる制度、それからその運用、これをですね、着実にこの難民の認定手続の適正性を確保する、適正であるということを確保するために、この制度と運用ね、やっぱりきちっと的確に積み上げていくということが、まず一番基本だというふうに思っています。申請者ごとに申請内容をしっかりと審査して、そして適切に定義に基づいて難民と認定すべき方については、適切に認定していく。ここが揺らぐと何事も始まらないと思います。ここをしっかりとまずやっていく。
そして、そういう認定の手続を経てもなお、難民とは認定しない場合であっても、出身国の情勢等に鑑みて、人道上、本邦での在留を認めるべき者については、在留を適切に認めて保護していく、また現実に保護しているわけであります。そういう、しっかりとした制度の在り方と運用、ここがまず基本ですね。そして、なお難民不認定処分に対する審査請求という仕組みも御存知のようにあるわけでありまして、難民審査参与員、3人1組で審議を行って法務大臣は必ずその意見を聴くと、これはですね、複数の外部の専門家が、多様な観点から意見を述べる。複数、外部、専門家、ここがキーワードだと思います。こういった方々の意見を法務大臣は尊重します。耳を傾け尊重してきています。したがって、手続の公正性とか中立性っていうのは、十分に実践的に確保されているというふうに考えております。
また、今ちょっと申し上げたような制度改正の部分については、補完的保護対象者の認定制度が新しく始まるわけであります。こういった制度面のその取組だけではなくて、この運用面においても入管庁が高等弁務官事務所との間で協力覚書を交換しまして、実際のやり取りをしながら現場に即したやり取りをしながら、運用面に関して難民該当性に関する基本的要素の明確化、難民調査官の能力向上、出身国情報の充実、この三本柱に基づいてUNHCRとの意見交換を踏まえながら、彼らのガイダンスも踏まえながら、運用面の改善に務めたということです。加えてですね、入管法改正のときに国会でたくさんの御指摘をいただきました。様々な御指摘をいただき、それをしっかりと受け止めて、真摯に受け止めてしっかり対応していく。附帯決議も含めて、法案の修正点も含めて、その趣旨をよく我々は理解をしてしっかり取り組んでいくと。こういう幾段にもわたってね、取組を今やっておりますので、是非御理解いただきたいと思います。
(以上)
出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00456.html