法務省|法務大臣閣議後記者会見の概要【令和6年11月1日(金)】

 今朝の閣議において、法務省請議案件はありませんでした。
 続きまして、私から技能実習制度における「やむを得ない事情」がある場合の転籍の運用改善について申し上げます。
 本年2月9日の外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において決定した育成就労制度の創設に係る政府方針で、育成就労制度においてやむを得ない事情がある場合の転籍要件が拡大・明確化されることが示されました。加えて同方針では現行の技能実習制度下においても当該事情がある場合の転籍について、可能な限り速やかに運用改善を行うこととされていたところ、この度、運用改善策を公表することになりました。
 具体的には、本日から「やむを得ない事情」の内容を詳細に示すなど明確化を図るとともに、技能実習生が転籍を申し出るための様式を整備するなど、手続の明確化及び柔軟化を図った上で、さらに、転籍手続中の技能実習生に対して、転籍期間中の生活を維持するため、週28時間の就労を可能とする在留資格上の措置を講じることなどとしました。
 これらの運用改善によって、現行の技能実習制度においても、更に技能実習生の権利保護を図り、制度の適正な運用に努めてまいりたいと思います。

国連女性差別撤廃委員会からの選択的夫婦別氏に係る勧告に関する質疑について

【記者】
 国連の女性差別撤廃委員会は先月29日、ジェンダー平等に向けた日本政府の取組に対する見解を発表し、夫婦同姓を義務づける民法の規定を見直し、選択的夫婦別姓を可能にする法改正を行うよう日本政府に勧告を出しました。これについての受け止めと今後の対応について伺います。

【大臣】
 御指摘のように、女性が婚姻後も婚姻前の姓を保持できるように夫婦の氏(うじ)の選択に関する法規定を改正することを求める勧告がなされたということは承知しております。
 この問題は、従前から国民の間に様々な意見があるということを承知しております。繰り返し申し上げてきましたが、私としては、この制度の導入について、こういうことも含めて、議論が起こって、国民の間で関心が高まっていくということは、大変重要なことだというふうに考えております。他方で、それを強引に進めることによって、国民の間に分断が生まれてしまうようなことは避けなければいけないと思います。
 従いまして、今後とも国民各層の意見や国会における議論を踏まえて、その対応を検討していく必要があると考えています。
 法務省としては、国民の間はもちろん国民の代表者である国会議員の間でもしっかりと議論をしていただき、より幅広い理解を得ていただくために、引き続き積極的に情報提供を行ってまいりたいと考えています。

同性婚を認めない民法の規定に対する東京高裁の違憲判断に関する質疑について

【記者】
 同性婚を認めない民法などの規定は憲法違反だとして、東京都などの同性カップルらが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁はおととい30日、現行の法制度を「違憲」とする判決を言い渡しました。これについても受け止めと今後の対応について伺います。

【大臣】
 御指摘の判決については、裁判そのものは、原告の請求を棄却した地裁判決に対して原告が控訴し、これを棄却したというものですが、その理由中において、民法及び戸籍法の婚姻に関する規定等が憲法14条1項及び憲法24条2項に違反する旨の判断が下されたと承知しています。
 色々な高裁の判断が出てきて、また地裁で係属しているものもあると承知しており、判決の確定前でもありますので、その判断をしっかり注視していきたいと考えています。

技能実習制度におけるやむを得ない事情がある場合の転籍の運用改善に関する質疑について

【記者】
 技能実習生の転籍の運用改善についてなんですけれども、技能実習生の失踪というのがいまだに後を絶たず、2023年、去年には過去最多を記録しました。
 今回のこの転籍要件の明確化が、こうした技能実習生の失踪に対して、どのような効果ですとか影響があるとお考えでしょうか。

【大臣】
 当然ながら、これまでここが厳格であったために、失踪するという手段を取っていた方もいらっしゃると思うので、「やむを得ない事情」の内容を明確化し、また手続も柔軟化することで、失踪ではなく転籍を申し出るという方が多分増え、その結果、失踪の防止に資するというふうに考えているところです。

(以上)



出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00555.html